当社代表の塩沢均による連載コラムです。

社長の塩沢です。
ベイクックについてはもちろん、稲作や長野米のお話、その時々の話題や情報など私なりに感じたことをお届けしていきたいと思います。どうぞお付き合いください。
この4月も、3,000品目近い食料品の値上げが行われたようです。人件費や原料費等の上昇によるコストアップが主な要因であり、「もっと早く値上げしたかったができなかった」というケースも多いのではないかと思われます。そしてこの先は、イラン戦争の成り行き次第ということになるのでしょう。
そんな中で、コメはようやく値下げ基調になってきました。大幅な下落というわけではないため、メディア等では「なかなか下がらないコメの価格」という取り上げられ方をしています。ただ、実態としては原料が安くなってきたというよりも(安い原料は相当量出てきているものの、手持ちの在庫が多すぎてなかなか仕入れられない)、昨秋に仕入れた高値の原料を収益度外視(赤字)で販売し始めた事業者が増えてきている、という状況だと思われます。
そのこと自体も大変厳しいことですが、それ以上に深刻なのは、コメの需要が目に見えて減っていることです。一昨年秋からのコメ不足と、昨年秋からの価格高騰は、コメの「居場所」を減らしてしまったように感じられます。家庭で麺類やパン類を食べる頻度が増えていたり、外食でのおかわり無料がなくなっていたり、あるいは使用されているコメが外国産米であったりと、気が付くと国産主食用米の「居場所」は徐々に少なくなっています。
農水省の推計では、今年6月末のコメの民間在庫は過去最多の271万トンになると公表されています。一方で、今年のコメは現状の生産者の作付け意向からすると、平年並みの作況であれば需要を上回る収穫量となりそうな気配です。
生産や流通の市場が、供給・在庫過多によっていったんリセットされ再構築される、というシナリオもあり得るかもしれません。しかし心配なのは、それによって生産者が一気に減少してしまうことです。万が一そうなった場合、日本の食料安全保障は別のフェーズに移ってしまいます。そう、まさに現在の石油のように、です。
そうならないために、国も関連業界・団体も、国産米が衰退しないための方策の立案に力を注いでほしいと思います。もちろん、そうした外部任せにするだけでなく、微力ではありますが弊社としても国産米の需要拡大に努めていきたいと考えています。そして、できることであれば、このコラムを読んでいただいている皆さまにも、日本のコメが今後どうあるべきか、そのために一人ひとりが何をできるのかを、少しだけ考えてみていただければ幸いです。