9月に入り、日中の暑さは残るものの、徐々に日が短くなり、朝夕は肌寒さを感じる日も出てきました。
稲の収穫作業は9月上旬から始まり、生産者さんによっては10月中旬頃まで続きます。
今回は現在行われている工程(稲刈り~乾燥~籾摺り~調整)をご紹介します。
目次
《稲刈り》 大型コンバインで行う稲収穫
「収穫・結束」を行うバインダー
まずはお馴染みの稲刈りです。お米の産地では、この時期によく見られる風景です。
専業農家さんは毎日の作業ですが、代々受け継いだ田んぼを家族総出でハゼ掛けまで行っている兼業農家さんも多くいます。
こうした場合は、1条(1列)ずつ刈って束ねる「バインダー」という稲刈り機を使います。
「収穫・脱穀・選別」まで行うコンバイン
一方、比較的大きな農家さんは「コンバイン」という機械で収穫から脱穀までをまとめて行います。
コンバインの大きさも様々ですが、6条刈りの大型機械になると価格は1,600万円以上と高額です。農業を事業として継続するには大きな設備投資が必要になることがわかります。
それを考えると適正な米価はいくらになるかを考えさせられます。
6条刈りの大型コンバインでの収穫
コンバインで収穫、脱穀された籾はすぐに乾燥機を備えたライスセンターに運ばれます。
ライスセンターのピットに投入された3反分くらいの籾
《乾燥 》水分管理が鍵となる乾燥作業
乾燥機に入った籾は、すぐに乾燥作業を行います。
機械乾燥ではありますが、ただ火を入れればよいというわけではありません。目標の水分値にすることはもちろん、乾燥機に入った籾全体の水分を均一に安定させることが非常に重要です。
この作業には、人の目や手による経験値が大きく関わります。水分調整の良し悪しは、その後の籾摺りの仕上がりにも影響します。
また、水分が多い籾は乾燥に時間がかかり、燃料などのコストも増えます。そのため、稲穂の乾き具合を見極めることも必要です。
さらに、収穫された籾はすぐに乾燥作業を行う必要があります。そのため乾燥機が空いた状態でないと次の稲刈りに進むことができません。乾燥機の稼働状況は稲刈りのスケジュールに直結しており、稲刈りから乾燥・調整はつながった一連の作業といえます。
籾の水分を調整する乾燥機
《籾摺り・調整 》玄米の品質を整える
工程手順
- 籾摺り機で玄米に加工
- グレーダー(網)で玄米をふるいにかける
- 色彩選別機で異物を取り除く
- 計量・袋詰め
籾摺り機で玄米に加工
水分値が調整された籾は、籾摺り機にかけられ、玄米の状態になります。
籾摺り機で玄米に加工
グレーダー(網)で玄米をふるいにかける
続いて「グレーダー」と呼ばれる網でくず米をふるい落とし、主食用に適した粒だけを残します。
長野県では一般的に1.85㎜の網を使用しますが、特A地区の基準では1.9㎜の網を使うことで、より品質の高い玄米を選別することができます。ただし、歩留まり(収穫量に対する製品割合)は下がるため、価格はやや高めになります。
色彩選別機で異物を取り除く
その後、色彩選別機を通して、未熟粒や着色粒、異物を取り除きます。
当社のような精米工場でも精米(白米)の段階で同じ作業を行いますが、玄米段階で行うことで、より安心して使用できます。なお、色彩選別機を導入していないライスセンターもまだあるため、この工程で品質に差が出ることもあります。
色彩選別機(左)で未熟粒や異物を除去し、計量・袋詰め(右)して完成
以上の工程で仕上がった玄米です。ほどよい青み(アオ)もあり、つややかな玄米に仕上がっています。試食でも上々の仕上がりでした。

米価は昨年に引き続き、今年も厳しい状況が続いていますが、長野県の品質は全体的にいいものがお届けできると実感しています。
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