お米に発生する虫の対策と対処法

長野米コラム 精米

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主に、高温多湿な6月頃から9月末頃まで発生することが多いお米の虫。お米は適切に保存していても、虫が発生してしまうことがあります。
虫の発生を予防するためには、気温が上昇する前から保存容器の清掃を計画的に行い、お米を15℃以下で保存することが大切です。
お米に発生する虫と、その対策方法や、発生してしまった時の対処方法をご紹介します。

お米に発生する「貯穀害虫」とはどんな虫?

お米や麦など、貯蔵された穀物を食べる虫のことを「貯穀害虫」と言います。その姿は、いわゆる黒っぽい5mm程度の昆虫であったり、小さな蛾であったりします。主には次の種類がよく見られます。

代表的な貯穀害虫

  • コクゾウ
    コクゾウ-3幼虫:白いウジ状。
    成虫:体長3mm前後で黒っぽい色。
    加害:象の鼻のような口で穀物に穴をあけて食べ、卵を産みこむ。

  • コクヌストモドキコクヌストモドキ-3幼虫:円筒形で細長い。体長3~4mm程度。
    成虫:光沢のある茶褐色。飛翔能力あり。
    加害:穀物の粉を食害する。

  • ノコギリヒラタムシノコギリヒラタムシ-3成虫:平たく、前胸の側縁はのこぎり状。体長3mm前後。
    加害:イネ科穀物の胚芽を加害。米糠、粉の害虫。

  • ノシマダラメイガ          ノシマダラメイガ-3幼虫:体長10mm程度で頭部は茶褐色。腹部は黄白色、淡赤色、淡緑色。
    成虫:体長7mm程。前翅の基半分は淡黄色、灰褐色で仕切られたあと半分は赤褐色。
    加害:玄米の場合はぬか層を食べ白米化。
       菓子やインスタント食品の袋を食い破って中に入り、食べることもある。
       糞は赤いので他の虫と区別しやすい。加害した食品の表面に細かく糸を張る。

虫が発生する場所や条件

虫は自然界に広く存在するため、私たちが気付かないうちに周りに存在しています。
その虫たちが産卵または、発生する主な場所・環境は以下の通りです。

発生する場所や環境

  • 稲刈り前の稲穂、貯蔵時に卵が産み付けられていて、米袋の中で孵化する
  • 米袋の通気のための穴から侵入する
  • 米袋を食い破り侵入する

発生しやすい条件

  • 25℃以上の気温
  • 粉の堆積した(堆積しやすい)場所
  • 米びつの中の継ぎ目や角張った部分
  • 玄米・精米

「貯穀害虫」という名の通り、穀類、小麦粉などの穀粉や油分の多い乾燥加工食品を食害します。
稲穂や貯蔵時に卵が産み付けられている場合は、25℃以上の気温が続くと活発になります。

虫のライフサイクルは?

  • おおむね気温25℃以上が続くようになると活動が活発になります。
  • 卵からおよそ30日程度で成虫になります。(種類によって差異はあります)
  • 成虫がまた産卵し、1ヶ月ちょっとあれば精米の保存容器内で世代交代が行われるイメージです。

虫の発生事例

メイガ成虫▲メイガの成虫

虫の糸を引いた状態▲虫の糸を引いた状態

糞▲糞

穿孔(ポリ袋)▲穿孔(ポリ袋)

穿孔(紙袋)▲穿孔(紙袋)

どうすれば発生を防げる?

虫の発生を防ぐには、それぞれの段階で予防が必要です。

  1. 原料玄米 温度管理、定期清掃
  2. 精米工場 定期清掃、製品の滞留防止
  3. 物流   外界との接触機会の短縮
  4. 保管   清掃、保管容器の密閉
  5. その他  適切な量の取り扱い

発生場所(保存場所)での堆積物などが原因となりますので、春になり気温が上昇する前、夏場、残暑の厳しい頃までは計画的に清掃を行うことが一番の予防策となります。

温度管理と適切な量

温度は15℃以下での保管が望ましいです。25℃以上の環境が続くと、活動のスイッチが入り孵化してしまう可能性があります。
なるべく長期間の保管を避けられるよう、適切な量の仕入・保管を検討することが重要になります。

保管環境・容器の清掃のポイント

特に米びつは一度発生すると卵を隙間に産み付けられるため、分解清掃が必要になります。
米びつの奥や、パネルの内側に卵を産み付けているので、通常の掃除では除ききれません。

米びつ-3

米びつ内部-3▲米びつ奥に卵を産み付けています       ▲パネル内側レールに卵を産み付けています

春の気温が上昇する前、夏の残暑の厳しい頃までは定期的に、容器をこまめに清掃することが望ましいです。

虫が発生してしまった場合の対処法

虫にも生育ステージがあります。発育ステージに合わせた対処法があります。

発見した虫が、幼虫だった場合

  1. 保管容器、保管場所で他にいないかを確認しましょう。他に移ったあとがないかもよく確認してください。(米袋保管の場合は、食い破った孔があります)
  2. いったんすべての精米を出して、別の保管容器に移す。
  3. 容器を洗浄する。米びつの場合は気温が下がる(15℃以下)まで使用を控える。

成虫の場合

  1. 保管容器、保管場所に他にいないか確認する。
  2. 保管容器内の幼虫や卵等、次世代の存在を確認する。
  3. メイガ等は飛翔するため、お米以外の食品も注意する必要があります。(お米以外で発生し、飛翔してきた可能性もあります)

お米の保管方法や虫のお悩みなどをお聞かせください

現在のお米の保管方法や環境、虫の発生を防ぐ対策法などお困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。

  • 温度管理のための冷蔵室がないけれど、どのように管理したら良い?
  • 卵を残さず清掃する方法は、どのような方法がある?
  • 頻繁に清掃できない場合は、どのような対策がある?

 

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