当社代表の塩沢均による連載コラムです。

社長の塩沢です。
ベイクックについてはもちろん、稲作や長野米のお話、その時々の話題や情報など私なりに感じたことをお届けしていきたいと思います。どうぞお付き合いください。
消費の減退が悩ましい状況にあります。(公社)米穀安定供給確保支援機構の調査によると、令和8年3月の一人当たりのコメ消費量は4,339gとなり、13カ月連続で前年同月を下回っています。目先の「コメが売れない」という問題もありますが、もう少し先を見据えると、この状態のまま主食用米の生産が過多になれば、供給過剰によって米価が暴落するリスクも否定できません。
生産者、流通・販売業者が現在の市場状況を十分に共有し、「主食用米の生産過多は危険だ」と認識できれば、こうしたリスクはかなり軽減できるはずです。しかし現状では、その連携がなかなか機能していません。簡単なようで、簡単にはいかないのです。
ここ数年、コメに関わる人々の間では、「再生産ができる状態を維持する」という言葉が合言葉のように使われています。「生産・搗精・流通・消費」という一連の流れが滞りなく循環してこそ、再生産は成り立ちます。しかし、出口である消費が目詰まりを起こしていては、次の再生産は危うくなります。
継続的な再生産にこだわる理由は、加工食品や工業製品のように、需要の増減に応じて短期間で原料生産量を調整することが、稲作では難しいからです。一度作付けをやめてしまった農地を元に戻すのは容易ではありません。そのため、関係者は総じてコメの生産減少を強く懸念しています。対策の一つとして、やはり既存の消費を維持していくことが重要だと考えます。突き詰めれば、一人ひとりが日常のごはん食を減らさないことに尽きるのではないでしょうか。
また、批判を恐れずに言えば、稲作やコメ流通の実態について、十分な知識を持たない消費者が少なくない点も課題だと感じています。事情を理解したうえで「不要だ」「いらない」と判断するのであれば、それは尊重されるべき選択です。しかし、理解する機会が乏しいまま需要が縮小しているとすれば、それは見過ごせない問題です。教育や政策の領域に委ねる部分も大きいかもしれませんが、需要創出という観点では重要なポイントでしょう。
国内需要については、インバウンド消費の存在感が増しており、輸出についても業界全体としてさらに取り組む必要があります。一つの施策だけで解決できる問題ではなく、複数の対策を組み合わせて乗り切るしかありません。そうした思いを込めて、ぜひ明日の朝食はごはんを召し上がっていただければと思います。